浪速風

競歩が教えてくれた 人生も逆転あり、5分間休息を力に変え逆転優勝の勝木選手

競歩・男子50kmで金メダルの勝木隼人=30日午前、ジャカルタ(納冨康撮影)
競歩・男子50kmで金メダルの勝木隼人=30日午前、ジャカルタ(納冨康撮影)

芥川賞候補になった引間徹さんの「19分25秒」(集英社文庫)は競歩を題材にした小説である。主人公は深夜の路上で義足の競歩選手と出会う。黙々と歩く姿に魅せられ、自分もストイックなこの競技に引き込まれる。タイトルは競歩の世界記録の5キロごとの平均タイムである。

▶常にどちらかの足が地面に接していなければならず、前脚は接地の瞬間から垂直の位置になるまで、まっすぐに伸びていなければならない。ジャカルタ・アジア大会の50キロ競歩で、勝木隼人選手(自衛隊)は歩型違反で3回目の警告を受け、大会規定によって5分間、コース脇のピットレーンで足止めされた。

▶距離に換算すると1キロ以上、トップだったのに4番手に落ちた。残りは15キロ余りで、絶望的と思われた。それでもあきらめず、ピットでの休息を力に変えて逆転優勝した。人生にもつまずきや回り道があるが、挽回できると教えてくれた。ただし、厳しい練習に耐えてこそだが。