米司法省、ハーバード大の入学選考で「アジア系が差別されている」と見解

 【ワシントン=黒瀬悦成】米司法省は30日、東部の名門大学ハーバード大が入学選考でアジア系米国人に他人種より厳しい人種差別的な基準を設けているとして学生団体が訴えている問題で、団体の主張を支持する見解を発表した。

 司法省は、学生団体が同大でアジア系に対する「明確な不利」な選考プロセスが存在するとの具体的な証拠を提示したが、同大は違法な差別を行っていないことを証明できなかったと説明した。

 セッションズ司法長官は声明で「米国人ならば誰であれ人種を理由に入学を拒否されてはならない」と指摘し、同大に是正を要請。これに対し同大は司法省の見解に「深く失望した」との声明を発表し、大学には選考に際し人種を考慮する権利があると主張した。

 オバマ前政権は学生の人種の多様性を高めるため、大学の入学選考で人種を考慮するよう求める指針を発表したが、保守勢力などから「実質的に黒人と中南米系の優遇につながっており、白人やアジア系に不公平だ」との批判が強まっていた。

 団体側は同大を相手に民事訴訟を起こしており、審理は東部マサチューセッツ州ボストンの連邦地裁で10月に開始予定。

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