全国の児童相談所(児相)が平成29年度に対応した児童虐待の件数は13万3778件(速報値)で、前年度より1万1203件(9・1%)増え、過去最多を更新したことが、30日公表された厚生労働省のまとめで分かった。調査を開始した2年度から27年連続で増加。28年度中に虐待で死亡した子供が77人いたとの死亡事例(心中の28人含む)の検証結果も公表された。
厚労省の担当者は「警察からの通告が増加しているほか、子供の前で家族に暴力を振るう『面前DV(ドメスティックバイオレンス)』が認知され通告が増えている。児相の体制強化が必要で、市町村も協力して虐待を防ぐ体制づくりを目指す」としている。
全国210カ所の児相に寄せられた通報や相談、警察からの通告のうち、児相が虐待の疑いが強いと判断し、親への指導や施設入所などの対応を取ったケースを集計した。
内容別では、「面前DV」や他のきょうだいと差別的扱いをするなど心理的虐待が7万2197件(前年度比9011件増)と最多で、全体の54%を占めた。次いで身体的虐待が3万3223件(同1298件増)、ネグレクト(育児放棄)が2万6818件(同976件増)。性的虐待も1540件(同82件減)あった。
都道府県別では、大阪が1万8412件(同669件増)で最多。神奈川1万3928件(同1734件増)、東京1万3707件(同1213件増)と続き、最少は鳥取の76件(同8件減)だった。
児相に寄せられる情報は警察からの通告が6万6055件(同1万1243件増)で最も多く、全体の49%を占めた。虐待児童本人からは1118件で全体の1%。厚労省は通報や相談を24時間体制で受け付ける全国共通ダイヤル((電)189)を設けており、来年度から通話料を無料にする。