【北京=藤本欣也、西見由章】中国当局は29日、北京での王毅国務委員兼外相と秋葉剛男外務事務次官の会談に関し、産経新聞記者が会談冒頭を取材することを拒否した。北京駐在の日本の新聞・通信社で構成する日本人記者会は、特定のメディアを対象に取材の機会を奪うことは看過できないとして会談冒頭の取材をボイコットした。テレビ局側も同様の対応をとった。
産経新聞は「合法的な取材活動に対する不当な妨害である」として中国外務省に文書で抗議した。
会談の冒頭取材をめぐっては、日本人記者会側が28日、代表記者として産経新聞と日本経済新聞記者らを選び、在中国日本大使館を通じて中国外務省側に通知。中国外務省が同日中に「外務省の方針に基づき産経記者は認められない」と日本大使館側に通告し、両国間で調整が行われたが、中国側は翻意しなかった。
秋葉氏は王氏に続いて会談した楽玉成外務次官に対し、「このようなことが二度と起こらないようにしてほしい」と抗議したことを記者団に明らかにした。
秋葉氏によると、王氏との会談では日中関係の改善の勢いを維持することで一致。10月に予定される安倍晋三首相の訪中については「積極的に両者で調整を進めている」と述べた。