京都府城陽市の芝山遺跡・芝山古墳群から、奈良時代の掘っ立て柱建物跡が出土し、府埋蔵文化財調査研究センターが28日発表した。東側には平城京(奈良)と北陸を結ぶ官道の北陸道があったとされ、官道沿いに建物が整備された可能性があるという。
新名神高速道路の整備事業に伴い、平成29年度から南北に走る府道西側の計約2400平方メートルを調べていた。奈良時代の須恵器や土師器(はじき)などとともに10棟分の掘っ立て柱建物跡が出土。過去の調査で、府道にほぼ並走する形で道路跡が南北で確認されており、うち2棟がその延長線上に沿って建てられていた。
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真北に向いた建物跡1棟と、「田」の字状に柱を配置する総柱建物も4棟確認。総柱建物は床を補強した倉庫として活用されていた可能性があるという。直径9・5メートルの古墳時代後期(6世紀)の円墳も見つかり、墳丘の中央付近で埋葬施設1基を確認。木棺が納められていたとみられる。
同センターの桐井理揮調査員は「建物が役所跡なのかは不明だが、遺跡の性格を分析するための貴重な史料」としている。
現地説明会は9月2日午前11時から。JR奈良線長池駅から徒歩10分。問い合わせは現地事務所(電)080・4854・9596。