携帯電話料金の値下げ議論を主導する菅義偉官房長官は、元総務相で通信行政に明るく、携帯市場が寡占で競争が働かない現状に危機感を持ってきた。平成27年秋に安倍晋三首相と引き下げ機運を醸成したが、実感できるほどの値下げに至らなかっただけに、今回は利用者が実感できる値下げを実現させる構えだ。
菅氏は周到に準備した上で、21日の札幌市内での講演で携帯料金を「4割程度下げる余地はある」とぶち上げた。6月に公正取引委員会が携帯各社に複雑な料金プランの改善などを求めた後に発信することで、利用者の賛同を広げるとともに、値下げ要求が菅氏の独断専行との印象を打ち消すことも狙ったとされる。
また、値下げ要求に正当性を持たせるため、日本の料金が経済協力開発機構(OECD)加盟国平均の約2倍で、他の主要国よりも割高であることなど、説得材料もそろえた。そして「分かりやすく、納得のできる料金サービスの確立」を掲げ、「スピード感を持って対応していく」と強調している。