近ごろ都に流行るもの

「葛飾北斎ブーム逆輸入」 長寿壮健にも注目 没後170年の「グレートウエーブ」

 取材日は、伝統木版技法を継承・復刻するアダチ版画研究所の職人による、「神奈川沖浪裏」を刷るワークショップが開かれていた。定員15組の親子枠がすぐに満席。刷り上がった和紙を手に「激しい、カッコイイ」と小6男子。小4女子は「波の一番高い所の模様が面白くて好き。勉強机に飾る」と目を輝かせた。

 平日約500人、休日約800人が来館。フランスを筆頭に3割が外国人の日もある。ブームの発端は2014年にパリで開かれた史上最大規模の「北斎展」。それが世界潮流に発展しているが、日本でも逆輸入的に人気の裾野が広がっている。

 2人組の若手女芸人、葛飾ふとめ・ぎょろめさんは同館の「ほぼ公認・学芸人」として活動中。「日暮里の繊維街で探した」という神奈川沖浪裏プリントの生地を仕立てた衣装が目印だ。「生涯に30回も画号を変えて、90回も引っ越しをした北斎の面白話を、漫才や歌や踊りでたくさんの方に伝えたい」と燃えている。

日本の4大観光コンテンツに…

 「北斎こそ『人生百年時代のロールモデル』。現代人が学ぶべきヒントが詰まっている」と語るのは、7月に「知られざる北斎」(幻冬舎)を上梓(じょうし)したノンフィクション作家の神山典士(こうやま・のりお)さんだ。

 北斎は80代で約250キロ離れた江戸~小布施(長野県)間を徒歩で4度往復。小布施には、「神奈川沖浪裏」からさらに進化を遂げた怒涛(どとう)図「男浪(おなみ)」「女浪(めなみ)」、21畳分の巨大天井画など、晩年の傑作肉筆画が多数残されている。

会員限定記事会員サービス詳細