【ワシントン=黒瀬悦成】トランプ米大統領は24日、ポンペオ国務長官が予定している4回目の北朝鮮訪問に関し、ツイッターで「ポンペオ氏に訪朝をとりやめるよう求めた」と明らかにした。
トランプ氏は訪朝を中止させた理由について「朝鮮半島の非核化に十分な進展が見られないと感じた」と説明し、北朝鮮が6月の米朝首脳会談で約束した「朝鮮半島の完全非核化」に前向きに取り組んでいないことに不満を表明した。
トランプ氏が北朝鮮の非核化が進んでいないことを公式に認めたのは初めて。
ポンペオ氏は23日、今月の最終週に訪朝すると発表し、27日にも平壌で米朝の高官級協議が開かれると伝えられていた。
トランプ氏はまた、米国との「貿易戦争」が激化している中国が、国連安全保障理事会の決議を受けた北朝鮮に対する制裁圧力で「かつてのように協力していない」と指摘し、中国の対応を非難。ポンペオ氏の次回訪朝は「恐らく中国との貿易関係が改善した後になる」との見通しを明らかにした。
18日付のシンガポール紙ストレーツ・タイムズは、中国の習近平国家主席が9月9日の北朝鮮建国70周年記念式典に出席するため訪朝する予定だと報道。北朝鮮の「後ろ盾」としての存在感を誇示して米中貿易摩擦の取引材料にする構えを示す中国に対し、トランプ政権は中国金融機関などへの制裁発動を警告して対抗していく事態も想定される。
トランプ氏は一方で、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の「心からの健勝を祈るとともに敬意を表する」と強調。その上で「近日中に会えるのを楽しみにしている」とし、2回目の米朝首脳会談への意欲を改めて示すなど、同氏が金氏との直接会談で構築できたと主張する「個人的な信頼関係」をテコに事態打開を図る意思があることも明らかにした。