大阪の中小・ベンチャー企業の間で、最新のセンサー技術や人工知能(AI)を用いて医療サービスを開発する動きが広がっている。センサーなど機器の価格が下がり、関西で盛んな健康・医療分野の研究開発と連携しやすくなって取り組みが進んだ。
医療向けITサービスを手がけるアルカディア・システムズ(大阪市淀川区)は、高齢者や病人がテレビゲームの画面を見ながら体を動かすリハビリシステムを開発した。ゲーム内で観光地を歩く疑似体験などができる。最新のセンサーが小さな動作も感知するため、あまり動けなくても楽しめるのが特徴だ。
同社の相阪渉取締役は「まったく運動をしていなかったおばあさんが老人ホームで運動を始めた」と話す。体に装着する端末を使えば、心拍などの生体情報も取得できる。
開発を可能にしたのは、技術の進歩と機器の低廉化だ。センサーのコストは5年前と比べ3分の1に下がり、「1万円程度のウェアラブル機器でも誤差は1%未満」(相阪氏)。今後は利用データをAIで分析し、新薬開発などにつなげる構想もあるという。
ベンチャー企業のネクストイノベーション(同市北区)は、スマートフォンのチャット機能で医師の遠隔診療を受けられるサービスを展開。来年には患者への問診にAIを導入する。診療前に患者の状況を詳細に把握しやすくなるという。