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「総裁選はこういう事になりましたが、終わったらまた仲良くやりましょう」
自民党総裁選(9月7日告示、20日投開票)をめぐり、今月11日、党参院幹事長、吉田博美の携帯電話が鳴った。電話の主は首相の安倍晋三だった。
数々の国会を乗り切ってきた吉田と安倍の絆は深い。にもかかわらず、吉田は、師匠である元参院議員会長、青木幹雄の意向をくみ、党総裁選で参院竹下派が元幹事長の石破茂を支持する方針を打ち出した。安倍からの電話を受け、吉田の胸に忸怩たる思いがこみ上げてきた。
「私は石破氏の記者会見に頭に来ているんです。あれじゃ、首相に対する個人攻撃じゃないか。石破氏には『反安倍を掲げて総裁選をやるなら支持できない』と言ってやるつもりです」
安倍は石破への論評を避けつつ、こう応じた。
「とにかく今後も緊密に連絡を取り合いましょう」
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国会議員票(405票)の7割強を安倍に固められ、劣勢を強いられている石破は「正直、公正」を掲げて反安倍色を鮮明にさせたが、その戦術は裏目に出つつある。
対立軸を打ち出した方が党員票(405票)獲得には有利かもしれないが、露骨な安倍批判は安倍を支持する勢力の感情を逆なでした。6年前の総裁選で石破を支持した無派閥議員は「野党のような批判をするならついていけない」と突き放した。「来夏の参院選を前に党内で先鋭的な対立構図を作ってどうするのか」との声も上がる。