積み立てた掛け金を投資信託などで私的に運用する個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」の加入者が8月中にも100万人を突破する見込みであることが15日、分かった。イデコで支払った掛け金は全額が課税対象から外れるため、所得税などを節税できる利点がある。加入者増の背景には昨年1月の加入対象拡大のほか、公的年金への不信もあるとみられる。
イデコの加入者数は6月現在で約94万人。昨年1月の制度改正で加入できる対象者が拡大し、それまでの自営業や企業年金のない企業の社員らだけでなく、主婦らも含めて原則20~60歳のほぼ誰もが加入できるようになった。月に数千人だった新規加入者は制度改正後に月3万人ペースとなっており、8月中にも100万人を超える見込みだ。
加入者増の背景には公的年金への不信感から将来のために自助努力が必要と感じる人が多いこともある。イデコの運用商品は預金や保険など堅実なものから、株式型の投資信託など元本割れリスクを取って値上がりを狙う商品もそろう。
一方、イデコの積立金は自営業であれば年約80万円まで可能だが、会社員だと掛け金の上限は年に30万円に満たず、公務員ならさらに少ない。節税枠を有効に利用することを考えれば、始める年齢は早いほど有利だ。みずほ総合研究所の堀江奈保子上席主任研究員は「40、50代の人だと現行のイデコのみでは老後の備えには不十分だ」と話し、より早いイデコの活用の必要性を指摘している。