関西の力

リバーレース(2)シャネルも顧客の栄レース 中国・青島とタイ・チェンマイから「信頼の手作業」提供

【関西の力】リバーレース(2)シャネルも顧客の栄レース 中国・青島とタイ・チェンマイから「信頼の手作業」提供
【関西の力】リバーレース(2)シャネルも顧客の栄レース 中国・青島とタイ・チェンマイから「信頼の手作業」提供
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 約60年前に兵庫県宝塚市で誕生した栄レースは今、中国・青島とタイ・チェンマイに工場をもつ。敷地約3万3千平方メートルの青島工場は、青島中心部から北へ約70キロの田園地帯に3棟の工場が並ぶ。平成6年の操業で、現地採用の約250人のうちほぼ9割を女性が占める。「青島は紡績で栄えた街。手先が器用な人が多い」と澤村徹弥社長(59)は説明する。

女性を美し飾ることへの誇り

 海外の工場で生産しても品質が確かなのは、10年前まで行っていた研修制度にもある。中国の工員が1~2年間、宝塚などの工場で研修を積んだ。「日本人の働き方を肌身で学んでもらった」と澤村社長。繊維の街・関西で培われた丁寧な仕事は、国境を越えて貫かれている。

 ガシャン、ガシャン、ガシャン-。青島工場に重々しい音が響く。にぶい緑色のリバーレース機(リバー機)の重量は約20トン。日本や米国などから持ち込まれ、50年以上使われているためか、機関車のように武骨な力強ささえ感じる。

 工員たちは、幅1ミリにも満たないボビンから1本ずつ器用に糸を出し、リバー機にセットする。ボビンの数は2万個近く。目と耳で機械の音や動きを確認し、部品のわずかな隙間に紙をはさむなどして微調整。いずれも手作業だ。20年以上働く王建惠さん(48)は「女性を美しく飾るレースを私たちの手で作っていると思うと、誇らしい気持ちでいっぱいです」。

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 ただし、リバーレースは大量生産が可能なラッセルレースに押され、リバー機も生産されなくなった。今は50~100年前のアンティークものの機械が頼り。新たに造るのは、蒸気機関車を復活させるようなもので、もはや不可能という。

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