夫婦2人の時間が苦痛に…急増する「夫源病」 典型的昭和のオヤジはご用心

 実際、「夫源病」が原因とみられる精神的ストレスで離婚を考える妻は増加傾向にあるようだ。

 最高裁判所の司法統計によると、平成29年に妻が離婚を申し立てた全2万7746件のうち「(夫による)精神的虐待」を理由にあげたのは全体の36%の9997件を占めた。

 加えて、亭主関白が半ば容認されていた世代が多数を占める「熟年」離婚も高止まりする傾向にある。28年に厚生労働省が行った同居期間別離婚件数調査では、同居期間35年以上の離婚件数は5960件で、1108件だった昭和60年の5・4倍。6106件だった25年から横ばいの状態が続いている。

早めの対応が鍵

 対応策はあるのか。名付け親の石蔵医師は、病気が発症する理由を「夫婦が事前に夫の定年後の生活を描けず、対応策を考えなかったことが原因だ」と分析。「退職前から夏休みなどの長期休暇を利用し、外出せずに自宅にこもり、夫婦水入らずの時間を長期間過ごしてみるといい。話題もなくなり、夫婦だけで過ごすのがいかに苦痛かを実感できる」と話す。

 その上で、具体的な対応策としてこう諭している。

 「夫は退職後も何らかの仕事についたり、体力的に負担の重い孫の面倒を見るなどして、早い段階から、定年後の社会への貢献の仕方を検討することが重要だ。退職後、誰かの役に立つ活動を続ければ、自宅で妻に当たり散らすこともない。他人に感謝されれば気分もよく、精神的な安定につながるだろう」

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