人間爆弾「桜花」最後の証言

(1)鹿嶋・神之池基地へ 「新兵器の乗員に、お前は志願するか」問う隊長に佐伯正明・上飛曹は答えた…

【人間爆弾「桜花」最後の証言】(1)鹿嶋・神之池基地へ 「新兵器の乗員に、お前は志願するか」問う隊長に佐伯正明・上飛曹は答えた…
【人間爆弾「桜花」最後の証言】(1)鹿嶋・神之池基地へ 「新兵器の乗員に、お前は志願するか」問う隊長に佐伯正明・上飛曹は答えた…
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 茨城県鹿嶋市の臨海工業地帯の工場群に埋もれるようにひっそりとある「桜花公園」だけが海軍神之池航空基地の名残を残す。空襲から航空機を守る掩体壕(えんたいごう)には「人間爆弾」と呼ばれた特攻兵器「桜花」のレプリカが展示されている。この地で訓練を受けた898人の若者が戦死した。

 74年前の昭和19(1944)年夏、元上飛曹の佐伯(旧姓・味口)正明(91)=愛媛県西条市=は熊本の天草航空隊で教官を務めていた。水上偵察機による対潜水艦爆撃訓練が終わり、指揮所で6人の教官と雑談をして、くつろいでいると、隊長が先任教官から順に一人ずつ呼び出し始めた。戻ってきた仲間は緊張の面持ちで一言も発しない。佐伯の番が来た。

 「いいか、このことは他の者に言わんと誓え」

 何のことか分からない佐伯が戸惑っていると、「人にしゃべらんかというんだ。それを誓え」

 「ハイ、誓います」

 勢いに押された返事が終わらないうちに佐伯の眼を見つめ、続ける。

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