劇場型半島

韓国の国民的ロボットアニメは「マジンガーZ」の盗作ではなかった 勝訴で自尊心を満たしたものの…

見奈良駅の「駅長」に任命されたマジンガーZのフィギュア=愛媛県東温市
見奈良駅の「駅長」に任命されたマジンガーZのフィギュア=愛媛県東温市

 アニメ「マジンガーZ」の韓国版といえる「ロボット・テコンV」の著作権侵害をめぐる訴訟で、韓国の地裁は、テコンVの固有の著作権を認める判決を下した。1970年代に制作され、国民的アニメとして不動の地位を占めながら、「マジンガーのパクリ」と言われ続けてきたテコンVの「汚名をそそいだ」と韓国メディアは勝訴を際立たせて伝えた。ただ、判決を詳しく読み解くと、テコンVがマジンガーのモノマネであることを否定しているわけではないようだ。

(ソウル 桜井紀雄)

(※8月4日にアップされた記事を再掲載しています)

被告業者「模倣キャラに著作権はない」

 訴訟は、テコンVの著作権を保有する株式会社「ロボットテコンV」が、テコンVにそっくりなブロック式のおもちゃを販売した玩具輸入業者を相手取って「著作権を侵害された」として、損害賠償を求めたものだ。

 注目されるのは、業者側の論法だ。「テコンV自体が日本のマジンガーZやグレートマジンガーなどを模倣したキャラクターだ」と主張し、著作権で保護される創作物とはみなせないと反論したのだ。

 開き直りともいえる強引な言い分だが、これに対し、ソウル中央地裁は7月31日、テコンVとマジンガーの外観上の違いなどを指摘。テコンVは「独立した著作物」などとの判断を示し、著作権侵害を認めて、業者に4千万ウォン(約400万円)の支払いを命じた。

 この判決を、韓国紙、朝鮮日報は「『マジンガーのパクリ』の汚名そそぐ」との見出しで報道。別の韓国紙、ハンギョレ(電子版)は「30年ぶりの訴訟で初の勝敗が出た。もちろんテコンVが勝った」と、あたかも国民的アニメがマジンガーに勝訴したと言わんばかりに喜びをにじませた。

長年の非難から取り戻した自尊心

 1976年に初公開されたテコンVは、テコンドーの技と動きを取り入れたロボットアニメで、このアニメに憧れてロボット開発の道を目指した人も少なくない。

 生誕30年の2006年には、韓国ロボット産業の発展と大衆化に貢献したとして、韓国政府から住民登録証に当たるロボット登録証を授与された。中央日報は「韓国アニメの自尊心だ」と評した。

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