サイバー潮流

標的は米だけじゃない 巧妙さ増すロシアのハイブリッド攻撃、その狙いは?

 ロシアによる選挙干渉やサイバー攻撃などを組み合わせた「ハイブリッド攻撃」の脅威が欧米などで広がっている。ハイブリッド攻撃を仕掛ける拠点を海外に設置し、発信源の特定を防ぐ巧妙な手口も判明。攻撃を強める背景には、経済低迷などで強国としての存在を示せなくなりつつあるロシアの「焦り」があるという指摘もある。 

(外信部 板東和正)

攪乱(かくらん)作戦

 「複数の拠点を特定した」

 8月6日。東京都内で産経新聞の取材に応じた危機管理の米専門家、ラインハルト・ハリス氏(仮名)は独自調査で、ロシアがハイブリッド攻撃を仕掛ける拠点(アジト)が、モスクワのほか、ジョージア、バルト三国のラトビア、トルコの各首都に設置されていることを明らかにした。ハリス氏は「モスクワ以外の3国に拠点を設置した詳細な理由は不明」とした上で「欧州や中東などに拠点を広げることで、攻撃の発信源を特定されないようにする『攪乱作戦』の一環だろう」と指摘する。

 ハリス氏によると、計4カ所の拠点には、露情報機関の連邦保安局(FSB)と関係があるとされるハッカー集団「コージーベア」などの人員が配置。各拠点の人員は偽ニュースなどを自動的にインターネット上で拡散するプログラム「ボット」や人工知能(AI)も扱っており、攻撃は24時間態勢で仕掛けることも可能という。

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