掛川市の資生堂企業資料館では、同社が販売してきた化粧品の瓶やコンパクトケースのデザインに焦点を当てた展示会「資生堂のデザイン-商品をして、すべてを語らしめよ-」の後期展を開催し、好評を集めている。12月24日まで。
「あえて、年号などの札を置かず、瓶などのデザインそのものを見てもらう構成にした」
同館マネージャーで学芸員の丸毛敏行さんがこう語るように、今回公開している1950年代以降の同社の化粧品の瓶など30点が歴史の視点を気にせずに鑑賞できる。いずれも美しい形状や斬新な色使い、豪華さなどがあり、むしろ新しさを感じるほどだ。
たとえば、「資生堂香水『ホワイトローズ』」は、昭和29年発売当時の最高級の香水だったが、それもうなずけるほど細やかで美しいクリスタルのカットが施されている。
また同社を象徴する唐草模様をケース全面にデザインした「資生堂クリームパクト」「日本」や「和」の世界観を海外に発信するために1960年代に発売された「Zen」など、どれも個性的だ。
同社のデザインは、初代社長の福原信三氏が創設した「意匠部」に集ったクリエーターたちにより洗練され、その後「資生堂スタイル」が確立された一方で、60年代以降、伝統を良い意味で覆す「反資生堂スタイル」のデザインや宣伝で世間にインパクトを与えてきた。
丸毛さんは「デザインの美として新鮮な眼で見ていただきたい。化粧品が発するメッセージを感じ取ってほしい」と話す。
前期から展示している時代の変革を感じさせるポスターや宣伝物も引き続き鑑賞できるほか、同社の歴史を映し出す新聞広告などの常設展も見ることができる。
併設する資生堂アートハウスでは、「ヴィンテージ香水瓶と現代のタピスリー さまざまなデザイン」展を開催(9月2日まで)しており、見比べてみるのもおすすめだ。
インバウンド(訪日外国人客)の増加にともない、同館にも台湾や中国など外国人の入場者が毎年2~3割ずつ増えているという。富士山など静岡観光のルートの一つとして、よりアピールしたい考えだ。
入館はいずれの施設も無料で開館時間は午前10時~午後5時。月曜休館。問い合わせは同資料館(電)0537・23・6122。