日本一低い仙台・蒲生の日和山 夏山登山、防災伝えられる場に

 元住民らのサークル「中野ふるさとYAMA学校」の佐藤政信代表(72)は「自然のことなので、抜いた抜かれたはある。ただこういう形で復活できたので、震災の記憶を留め防災を伝えられる場になれば」という。

 片桐さんも「住民が年に一度は集まり、地域がどう変わっていくか見る機会になる」と山開きの復活を喜んだ。

 出発地の「中野地区地域モニュメント」は旧中野小学校跡地に設けられた小高い丘にある。高さは以前の日和山と同じ。日和山は「地域の人たちの心のふるさと」(佐藤代表)で、頂上には震災前の日和山同様、松の木も植えられた。慰霊碑には震災で犠牲になった住民157人のうち、遺族の同意が得られた151人の名前が刻まれている。

 近隣中学生たちによって復活した「中野小(学校)太鼓」に勢いづけられ、登山開始。本格的な装備をした参加者たちは、工事場所を避け遠回りしながら約1・6キロ先の山頂を目指した。途中の高砂神社は7合目。しっかり休んで安全祈願をした後は「滑落注意!」「落石注意!」と声を掛け合いつつ、海辺に向かう。高さ約4メートルの土手からいったん下った後、登山者らは階段を踏みしめて、次々と山頂に到達した。

 ◆「大好きな美しい場所」

 宮城野区の会社員、吉川直人さん(35)は1歳半の娘と登頂。しっかりした足取りをみて「日本アルプスにいつか一緒に登りたい」。

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