夏山登山に行ってきた。仙台市宮城野区蒲生地区にある日和山。標高3メートル。国土地理院の地形図に掲載されている日本一低い山だ。東日本大震災後、一帯は災害危険区域に指定され、現在事業用の土地区画整理工事の真っ最中。照りつける日差しに、海側に広がる蒲生干潟から吹く潮風が心地よい。「日本一高い山」富士山と同じ7月1日に行われた山開き。元住民らに混じって歩いてみた。
◆津波で風景一変
蒲生の日和山の山開きは復活以来、今年で5年目。もともとは平成3年、登山雑誌にあった国土地理院関係者の文章で標高6・05メートルの「日本一低い山」だと判明し、翌年から地元住民らが地域おこしで山開きを始めた。ところが8年には大阪市港区にある天保山が4・53メートルと地形図に記載され、日本一の座を奪われてしまう。あちらの周辺は大規模水族館「海遊館」がある一大レジャースポットだ。
最初の山開きを行った実行委員会の元委員長、片桐豪さん(71)は「残念だった」と当時の思いを語る。ところが、東日本大震災の津波は風景を一変させる。一帯では防災集団移転が実施された一方、26年には国土地理院の調査で日和山の標高が3メートルと判明。日本一に返り咲いた。