沖縄県の翁長雄志(おなが・たけし)知事(67)にとって、7月27日の記者会見は一世一代の見せ場だったはずだ。
この場で翁長氏は、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設先である名護市辺野古での埋め立て承認を撤回する手続きに着手すると宣言した。辺野古移設に反対する翁長氏は「あらゆる手法」で工事阻止を図ってきたが、その合法性を争う裁判で連敗してきた。埋め立て承認の撤回は最後のカードだ。
翁長氏の任期は残すところ4カ月あまり。11月18日には知事選も控えている。自身の求心力を維持するためにも撤回は重要なテコとなり得る。
7月19日には翁長氏を支えてきた謝花(じゃはな)喜一郎副知事が、早期撤回を迫る市民団体幹部らに月内に撤回を行うとの見通しを明らかにした。関係者によると、翁長氏はこれを知って激怒したという。撤回は知事の権限だ。その決断を表明する記者会見には期するものがあったからこそ、腹心の先行した発言が許せなかったのだろう。
だが、翁長氏の記者会見に出席した記者の間では、戸惑いの声が上がった。事実誤認や、にわかに理解しがたい認識を開陳したからだ。