処分から共生へ-。神奈川県動物保護センター(同県平塚市)が来年4月、隣接地に新築移転する。約50年前、犬の殺処分を主な目的として建設された施設が、時代を経て、動物を生かして共生するための施設に生まれ変わる。大量に殺処分を行っていた時代の遺構が数多く残る現施設。移転まで1年を切った県動物保護センターを訪ね、県内の動物愛護の現状を探った。
(横浜総局 外崎晃彦)
施設は昭和47年4月に「県犬管理センター」の名称で開所した。現在、同センターで業務課長を務める上條光喜さんは「街頭に野良犬があふれていた時代。当初は犬の殺処分が主要な業務だった」と設立の経緯を解説する。
最大1万8千頭
野良犬の捕獲は狂犬病をはじめとする感染症対策が目的だ。狂犬病は30年代前半を最後に、国内感染で人は発症していないが、「当時はまだ狂犬病に対する県民の恐怖心も鮮明。国は捕獲に力を入れていた」という。