近代建築って素晴らしい(5)

建築の生き残りに市民の愛着必要 松隈洋・京都工芸繊維大教授

学生が制作した建築模型の前で談笑する松隈洋さん。建築家の卵たちに、建築が持つ意味や役割を説き続ける=京都市左京区(寺口純平撮影)
学生が制作した建築模型の前で談笑する松隈洋さん。建築家の卵たちに、建築が持つ意味や役割を説き続ける=京都市左京区(寺口純平撮影)

 --仕事を干されながらも、神奈川県立音楽堂は守られました

 松隈 まだバブルの余韻が残っていたころで、古い建物は壊されて当たり前という時代でした。前川國男という建築家が忘れ去られていた時代だったとも思います。でも、ホールの音響がいいということもあり音楽家も保存に協力してくれました。利用する市民も多かったので、愛着があったことも大きい。すごく幸せを感じたし、いい経験になりましたね。

 --同じ前川作品でも、京都会館は一部が解体されました

 松隈 残念だったのは音楽堂みたいに、市民から保存を求める声があまり聞こえなかったんです。京都会館は朽ちるに任せてしまった。もともと音響が悪いといった問題を抱えていましたが、うまく改修をしていれば、少なくとも市民の愛着が薄れていくことは防げたと思います。

 --近代建築を守るカギは愛着ですか

 松隈 東京駅みたいにみんなが「歴史的でいい建築だね」と言っているものはいいのですが、「どこがいいの?」といわれてしまう建築もあります。保存運動にかかわった中では、吉田鉄郎が設計した東京中央郵便局と大阪中央郵便局がそうでした。

 --大阪中央郵便局をめぐっては、国を相手取り、重要文化財指定を求める訴訟を起こしました

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