8月になった。というより、記録ずくめだった7月がようやく終わった。1日は「水の日」である。「水資源の有限性、水の貴重さ及び水資源開発の重要性について国民の関心を高め、理解を深めるため」として定められたが、今年は西日本豪雨の記憶が生々しく、むしろ水の脅威を強く感じる。
▶日本は水に恵まれた国である。多雨地帯であるモンスーンアジアの東端に位置し、年平均で約1700ミリの降水量は、世界平均の2倍近い。この雨が山林に蓄えられ、川となって平野を流れ、さまざまに利用されてきた。外国人がうらやむ「水と安全はタダ」は、ほかならぬ日本人がそう考えた。
▶近年、乱伐によって森は荒れ、川はコンクリートで閉じ込められた。水の恩恵を忘れ、上手につきあう心を失ってしまった。未曽有の水害は自然のしっぺ返しではなかったか。豪雨の後に猛暑が続く。街中で打ち水イベントを見かけたが、ひしゃく一杯の水がありがたく思えた。