高見国生の認知症だより(19)

有名な「認知症テスト」開発した先生までも…潔い告白に涙

京都府立医科大神経内科の講座で認知症の女性(83)が描いた「色のアラベスク」。金色の絵の具を流し込み、偶然できた形を生かして色の世界を楽しんだ(「京都<臨床美術>をすすめるネットワーク」提供)
京都府立医科大神経内科の講座で認知症の女性(83)が描いた「色のアラベスク」。金色の絵の具を流し込み、偶然できた形を生かして色の世界を楽しんだ(「京都<臨床美術>をすすめるネットワーク」提供)

 昨年11月の読売新聞朝刊に、「認知症 ありのままの僕 精神科医・長谷川和夫さん」というインタビュー記事が載りました。紙面を大きく使い、認知症であることを告白した記事です。目を疑いました。まさか長谷川先生が?

 「それは誰?」と思う方もいるかもしれませんが、早くから認知症に取り組んだ著名な医師です。

 「100から順に7を引いてください」「3つの言葉(桜、猫、電車)を覚えてください。あとでもう一度尋ねます」などといわれたことはありませんか。これは「長谷川式スケール」と呼ばれる有名な認知症のテストなのです。長谷川先生が開発し、昭和49年に公表しました。そんなに早くから認知症を研究し、診療に当たってきた方です。

 「家族の会」とも関係が深く、会の顧問をしてもらっていますし、平成16(2004)年のADI(国際アルツハイマー病協会)国際会議では組織委員長として陣頭に立ってもらいました。「家族の会」が大きな行事をする前には、陣中見舞いと称してチョコレートやお菓子が届きました。

 記事で、長谷川先生は語っています。「年相応の物忘れもあるが、長い診療経験から認知症であることに間違いはない」「ショックかって? 年を取ったんだからしようがない。長生きすれば誰でもなる。ひとごとじゃないってこと」。これを読んで涙が出ました。長谷川先生の潔さにです。

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