政府は6月にまとめた経済財政運営の指針「骨太方針」に、建設、介護など人手不足の深刻な5分野で外国人の在留資格を新設する方針を盛り込んだ。これまで認めていなかった外国人の単純労働者の受け入れを、事実上、初めて解禁した形だ。もっとも、治安の悪化や日本人の雇用が奪われることを不安視する声は根強い。外国人受け入れの推進派である毛受敏浩・日本国際交流センター執行理事と、慎重派の施光恒・九州大院准教授に考えを聞いた。
毛受敏浩・日本国際交流センター執行理事
--政府が新たに5分野の在留資格を設けることを決めた
「ポジティブ(前向き)に評価している。特に次の3つの点で画期的だ。まず、今まで認めていなかった単純労働分野に初めて外国人の受け入れを認めた点。次に、受け入れた中で試験を通った優秀な人は定住を認め、家族も連れてきていいとした点。これは移住者を認めるのとほぼ同じといえる。そして受け入れた外国人を生活者として、政府が責任をもって包括的な政策を進める方向性を示した点だ」
--対象は農業、建設、宿泊、介護、造船の5分野だ
「基本的にはもっと広げるべきだろう。景気の波にかかわらず、人手不足が深刻な分野もあり、少子化で現場労働につく若い人が少なくなる一方、熟練工が高齢化して退職している。外国人の力が必要だが、(従来の在留資格である)技能実習生だと3年たったら帰国してしまう。優秀な人には残ってもらい定住してもらう道をつくらなければ、日本のモノ作りは大変なことになる。政府は、外国人がいなければ社会が回らない実情を、日本人にもっと知らせなければならない」