北朝鮮拉致

実行犯手配も解明進まず

「拉致指令」の構図
「拉致指令」の構図

 昭和53年6月から8月にかけ、判明しているだけで計10人が北朝鮮に拉致された。警察当局は、帰国被害者への捜査などから組織的な国家犯罪の実態を浮き彫りにし、一部の実行犯も特定。ただ、犯人の引き渡しや処罰に至ったケースはない。

 平成14年10月に地村保志さん(63)と富貴恵さん(63)夫妻、蓮池薫さんと祐木子さん夫妻、曽我ひとみさん(59)が帰国すると、警察当局は実行犯らを特定し国際手配。工作機関「対外情報調査部」主導の下、組織的な拉致が実行された疑いがあるとみている。一方、証言が得られない未帰国被害者の事件は実態解明が進んでいない。

 田中実さん(68)=拉致当時(28)=や田口八重子さん(62)=同(22)=の拉致では工作員が関与したとみられるが、捜査は足踏み。市川修一さん(63)=同(23)、増元るみ子さん(64)=同(24)=の事件も詳細は不明のままだ。

 父の金日成主席に後継者指名された金正日総書記は1976(昭和51)年、スパイ活動などを行う工作機関を厳しく査閲。日本語などを完璧に習得した工作員を養成するため、「教育係を拉致せよ」と指示した。

 拉致被害者を救う会は、その後に拉致された日本人の多くが、教育係として連れ去られたとみている。救う会の西岡力会長は「金正日総書記の『指令』によって拉致が次々と実行された」と指摘する。