【緯度経度】したたかなイスラエル、露に急接近 三井美奈(2/2ページ) - 産経ニュース

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したたかなイスラエル、露に急接近 三井美奈

 米同盟国イスラエルに、ロシアはなぜここまで配慮するのか。一つのカギはロシア系ユダヤ人の存在だ。

 イスラエル在住のロシア系ユダヤ人は約150万。全人口のおよそ5分の1を占める。東西冷戦崩壊後、旧ソ連から大量流入したためで、国内にはロシア語テレビや新聞もある。旧ソ連で迫害された彼らは左派嫌いが顕著で、イスラエル右派を熱烈に支持する。同国の極右政党を率いるリーベルマン国防相も旧ソ連モルドバ出身だ。

 旧ソ連は中東で反米・反イスラエルだったが、プーチン氏は「イスラエルのロシア系ユダヤ人は、われわれの一部」と述べ、親イスラエルに軌道修正した。

 見逃せないのは、ユダヤ系に新興財閥オリガルヒが多いこと。両国を結ぶパイプとなる。5月にはサッカー英プレミアリーグの名門チェルシーのオーナーで、プーチン氏に近い大富豪ロマン・アブラモビッチ氏がイスラエル国籍を取得し、移住した。オリガルヒはソチ冬季五輪やサッカーW杯など、国威発揚イベントの強力なスポンサーだ。

 一方、「歴代米大統領のだれよりも親イスラエル」を自任するトランプ氏はエルサレムへの米大使館移設に続き、イスラエル、パレスチナの和平案を発表する計画という。だが、イスラエルはパレスチナを武力で押さえ込んでおり、和平を急ぐ理由はどこにもない。喫緊(きっきん)の脅威はイランだが、トランプ氏はロシアにお任せのようだ。

 日本や欧州の米同盟国がトランプ旋風に大わらわの中、イスラエルは危機を逆手に米露両国を後見役にした。この国はやはり、したたかで強い。(パリ支局長)