西日本豪雨で被災自治体に連日、全国から大量の救援物資が届く中、「被災者ニーズとのミスマッチ」という新たな課題が生じている。復旧に向けた動きが加速する過程で、被災者らの求めるものが刻々と変化しているためだ。被災当初は必要だった食料などが余る一方、連日の猛暑で水やスポーツ飲料は不足しがちに。読み切れないニーズに、自治体側は頭を抱えている。(入沢亮輔)
衣類積み上げ
今回の豪雨で甚大な被害を受けた広島県呉市。緊急の救援物資集積場となった市役所1階には23日、全国から届けられた米やビスケットといった食料や、衣類の入った段ボール箱が所狭しと積み上げられていた。市は食料について、被災後数日で必要量を確保。22日には、余っていたマスク約10万枚やスコップ約1200本を倉庫に移した。
岡山県倉敷市も状況は同じだ。被災当初に必要とされた食料やおむつ、生理用品などの生活用品から、土(ど)嚢(のう)袋など土砂の撤去作業に使う資材にニーズが変化。酷暑の中、被災者やボランティアらが復旧作業を行うため、水やスポーツ飲料も需要が増えているという。
「第2の災害」
こうした現状について、災害救援を行うNPO法人「レスキューストックヤード」の栗田暢(のぶ)之(ゆき)代表理事は「不特定多数の人に救援物資を送る場合、量と中身のマッチングが難しい」と話す。供給される物資と被災者ニーズのミスマッチや供給過多は、東日本大震災や熊本地震でも課題だった。