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行きつけのとんかつ屋でこんな張り紙を目にした。「お腹(なか)がすいても、お家(うち)にお金がないときやお子さんにおいしいものをお腹いっぱい食べさせてあげたいのにご事情があって難しいときは(中略)店長のおごりで、コソッと無料でお腹いっぱい食べてもらいます」。奈良市のとんかつ店「まるかつ」の金子友則店長(41)が5月から始めた「無料食堂」の取り組みが、SNSなどを通じて大きな反響を呼んでいる。中には善意を踏みにじるような客もいるが、金子さんは「1人にでも僕の思いが届けばそれでいい」と話す。(神田啓晴)
常連客からの懇願に救いの手
豚肉からパン粉、油まで原材料にもこだわり、160度の低温でじっくりと揚げた自慢のとんかつ。サクッとした食感を堪能した次の瞬間、豚肉の濃厚なうまみが口いっぱいに広がる。
「油はラードではなく、米油を使っています。子供からお年寄りまで、体に優しいとんかつにしたいですから」。人気のロースかつ定食は1180円だ。店は幹線道路に面しているとはいえ、周辺に駅はない。決して恵まれた立地とはいえないが、県内外から連日多くの客が訪れる。
金子さんは奈良県橿原市で育ち、高校卒業後は県内の飲食店で修行。平成26(2014)年に同店をオープンすると、ランチタイムには行列ができる繁盛店に成長させた。