激動・朝鮮半島

北、「米が終戦宣言を拒否」と不満表明 文在寅政権に働きかけ催促

 【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮は23日、韓国向け宣伝サイト「わが民族同士」の論説で、4月の南北首脳会談で年内の実現方針で合意した朝鮮戦争の終戦宣言をめぐって、米国が支持しながら「最近、立場を急変させて拒否している」と不満を表明した。韓国政府に対しても「履行の義務を負っている」と指摘し、「決して手をこまねいて見ていてはならない」と主張した。

 朝鮮戦争の休戦協定に絡み、「非正常な休戦状態を終結させ、平和体制を樹立することは、これ以上先送りできない歴史的課題だ」とも強調した。ポンペオ米国務長官との今月上旬の協議後も北朝鮮外務省は、米側が一方的な非核化要求だけを持ち出し、終戦宣言については「条件や口実を設けてはるか後へ引き延ばそうと」したと批判した。

 北朝鮮は、終戦宣言を非核化の見返りとして求める体制保証の重要な一歩とみなしているとみられ、進展がない終戦宣言の協議に関し、米朝の「仲介役」を自任してきた韓国の文在寅(ムン・・ジェイン)政権に対してトランプ米政権への働き掛けを催促した形だ。「非核化措置が先か、終戦宣言が先か」をめぐる米朝の駆け引きは長期化する恐れもはらんでいる。

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