レオナルド・ダビンチの名画「最後の晩餐」のテーブルにあるのはウナギではないかという説がある。20世紀末の修復作業で画面が鮮明になり、魚料理とわかった。描かれた15世紀にはミラノ周辺でグリルしたウナギがよく食べられていたそうだ。真偽はともかく、どんな味がするのか口にしてみたい。
▶「うなぎ」という短編小説がある林芙美子は昭和26年6月、婦人雑誌の連載のため老舗の専門店を取材した後に体調を崩し、47歳で急逝した。結果としてウナギが「最後の晩餐」になってしまった。よく人生の最後に何を食べたいかという問いがあるが、小欄もウナギが好物で有力な候補である。
▶今日は「土用の丑の日」。稚魚のシラスウナギが不漁で、国産ウナギの値段が高騰している。例年以上に高値の花だ。代用品で我慢する手もあるが、この猛暑を乗り切るには、やはりウナギでなければ。「最後の晩餐」のつもりで、わが家の財務大臣を拝み倒そうか。