商業ビルの一室が又貸し(転貸借)され、違法風俗店の開業に使われるケースが後を絶たないとして、大阪府警はビルオーナーに対する指導の強化に乗り出した。大阪・キタで2月、未成年者を雇用していた違法風俗店を摘発した事件では、だれが経営しているのか、その実態を隠すために転貸借が悪用されていた。ただ貸す側のオーナーの間でも、違法営業に対する認識には温度差があり、一筋縄ではいかない。
マネロン手段に
6月21日、大阪市北区茶屋町の大学施設。キタの繁華街にビルを持つオーナーら約40人が、管轄する曽根崎署の担当者の説明に耳を傾けていた。
違法営業をさせないよう賃借人に誓約書を書かせること、業務内容や届け出・許可の有無を確認すること-。
警察がこんな要請をするのは、今年2月の事件がきっかけだった。
未成年者を雇って無許可で風俗店を営業をしたとして、大阪府警生活安全特捜隊は、風営法違反や労働基準法違反容疑で、同市北区堂山町にあるグループ系列のガールズバー計4店舗を摘発した。この店舗がいずれも転貸借の物件だったのだ。
府警によると、グループ代表の韓国籍の男(54)はオーナーから借りた部屋を、部下である各店舗の店長らに又貸ししていたという。男は転貸借契約上の転貸人であることを強調し、「貸していただけ」と容疑を否認した。
しかし、府警は内偵捜査で、男と店長らが複数回にわたって会議を開いていたことを確認。さらに押収資料を分析し、店舗経営に対する指示をしていたことを突き止めた。