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西日本豪雨で被災地となった岡山県倉敷市では、夏休みの旅行シーズンを前に、観光業への影響が広がっている。ホテルでは宿泊予約のキャンセルが相次ぎ、市内有数の観光スポット・美観地区では乗り入れる観光バスが被災後、前年同期比で4割を切るまで落ち込んでいる。「被災地の復旧が第一」。関係者はこう話す一方、「市中心部は普段通りなのだが…」と影響の長期化を警戒する。(井上浩平、小笠原僚也)
打撃、想定以上
同市にとって、今年は観光に懸ける1年になるはずだった。文化庁が昨年発表した「日本遺産」で、同市が選ばれたほか、今年は瀬戸大橋開通30周年の節目で、さまざまなイベントが予定されていた。
「今回の災害で観光客が減るとは思っていたが、まさかここまでとは」。公益社団法人「倉敷観光コンベンションビューロー」の山本俊哲課長(44)は困惑した表情を見せる。
同法人によると、被災直後から、市内のホテルでは宿泊客のキャンセルが急増し、予約が埋まっていた夏休み期間中の8月についても同じだという。
市中心部に位置し、江戸時代からの古民家が並ぶ美観地区では、乗り入れる観光バスが急減。豪雨に見舞われた今月5日からの7日間で、近くの駐車場を利用したバスは68台で、前年同期比38%にとどまる。
被災後、甚大な被害が出た同市真備町で片付けを手伝ったという山本課長は「まずは被災地の復旧だろう。被災者がいるのに観光に来てとPRするのは違和感がある。ただ、市中心部は交通の乱れもなく、観光できるという最低限の情報は発信したい」と話す。