「棋士になってから、ずっと取りたいと思い続けてきたんです」
5度目のタイトル挑戦で悲願がかなった。幼少のころから注目され、早くからタイトル獲得の若手有力候補と目されていた。
「これまでうまくいっていなかった。それでも諦めずにやっていこうと考えていました」
平成2年、愛知県出身。桐山清澄(きよずみ)九段門下で11年、奨励会に入会し、19年、16歳で当時平成生まれ初のプロ棋士としてデビューした。20歳だった23年、王将戦で初めて挑戦者となり、26年に王座戦、27年に1度目の棋聖戦、今年に入って2度目の王将戦に挑んだがいずれも退けられた。
王座戦と1度目の棋聖戦で、立ちはだかったのは羽生善治前棋聖だった。
「悔しい思いはありますが、気持ちが入りすぎるとよくない。普段通りに行きたい」と、今回は勝負のことだけに集中して臨んだ。
将棋との出合いは4歳のころ。「羽生世代」の若手棋士がテレビ番組で紹介されたのを見て興味を持った。羽生前棋聖はその後間もなく将棋界初の七冠独占を達成する。
それだけに、「(羽生前棋聖と)指すことができるのは、ずっと不思議な感じがしています」と話す。一方で「対局するからには勝たなければ」と立ち向かった。
兵庫県尼崎市在住。持ち前のポーカーフェースを保ちつつ、これからは、タイトルホルダーとしての誇りを胸に、王位戦七番勝負の挑戦者として2つ目のタイトル獲得を目標にする。ため込んだ力を解き放ち、さらなる高みを目指す。(中島高幸)
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