期待の若手が将棋界の第一人者を破り、初戴冠-。東京都千代田区の「都市センターホテル」で17日に行われた第89期ヒューリック杯棋聖(きせい)戦五番勝負の最終第5局。午後6時25分、先手の羽生善治(はぶ・よしはる)棋聖(47)=竜王=が投了した瞬間、豊島将之(とよしま・まさゆき)八段(28)の念願の初タイトルが決まった。
第5局の戦型は第1、4局と同様に角換わり腰掛け銀に。羽生は45手目で▲4七角と打つと、立会人の島朗(あきら)九段は「意欲的な手。温めていた作戦でしょう」。豊島はこの角を働かせないように指し回した。対して羽生は67手目に▲3三銀と打ち込み、後手陣に激しく攻め込んだ。「寄せ合いに入りました。もう終盤」と島九段。豊島は一瞬の隙をついて攻めに転じ、70手目△8八銀から△7五銀まで一気呵成(いっきかせい)に先手玉へ猛攻。控室の検討も「後手優勢」で進んだ。
しかし、ここで羽生は働いていなかった4七の角を5八の地点に引き、逆転の伏線をつくった。さらに87手目▲8七銀と受け、豊島を安心させない。しかし豊島の90手目△7五歩が冷静な決め手となった。最後は豊島が先手玉を追い込み、羽生が投了した。
羽生前棋聖の話
「(本局は)攻めが無理だったのかもしれない。(タイトル獲得通算100期は)次の機会を目標にしてやっていければいい」
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こちらの記事で第5局の再現棋譜をご覧いただけます。
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