「第89期ヒューリック杯棋聖(きせい)戦五番勝負」で、二冠を保持していた羽生善治(はぶ・よしはる)前棋聖(47)=竜王=から、挑戦者の豊島将之(とよしま・まさゆき)新棋聖(28)が棋聖位を獲得したことで、将棋界は八大タイトルを8人が分け合う戦国時代に突入した。1人1タイトルずつ分け合うのは、七大タイトル制だった昭和62年以来、31年ぶり。羽生前棋聖らが長く複数タイトルを保持してきたが、近年は若手が台頭、世代交代が進む。
▲「群雄割拠」過去に1度△
昭和58年に王座戦が昇格して七大タイトル制になり、昨年、叡王(えいおう)戦が加わって八大タイトル制となった。昭和62年10月、王座戦で塚田泰明九段(53)が、二冠だった中原誠十六世名人(70)からタイトルを奪い、7つのタイトルを7人で分け合う状態に。しかし同年11月、棋王を保持していた高橋道雄九段(58)が、竜王戦の前身「十段戦」で福崎文吾九段(58)からタイトルを奪い二冠となった。
以降、複数のタイトルを保持する棋士が常にいた。羽生前棋聖は平成3年以降、常にタイトルを保持し続け、8年には七冠独占を達成。現タイトル数は単独トップの99期だ。