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【台北=田中靖人】台湾で11月末の統一地方選の選挙戦が実質的に始まった。2大政党が14、15の両日、相次いで集会を開き、地方選の方針を確認した。両党が見据えるのは地方選の投開票からほぼ1年後の2020年の年初に行われる総統選で、早くも政権をめぐる攻防が始まっている。
与党、民主進歩党は15日、台北で開いた党大会で、県・市長選の候補者全員が蔡英文総統(党主席)と並んで気勢を上げた。蔡氏は、一部に政権への「失望」があることを認めつつも「改革の方向は正しい」と強調。統一選は「単なる地方選ではなく、改革と反改革の対決だ」と呼びかけた。
野党、中国国民党も14日、地方選の候補者らが党本部に集まった。呉敦義主席は、蔡氏の公約は中台関係から内政まで「空手形ばかりだ」と批判し、「年末(の地方選)に勝利してこそ20年の政権復帰の機会がうかがえる」と訴えた。
地方選は台湾全土22県市で行われる上、総統選までほかの選挙予定がないため、有権者の投票行動が総統選の予想指標となる。首長の党別勢力は現在、民進党13、国民党6、無所属3となっている。人口の約7割を占める6直轄市の市長選に注目が集まるが、それ以外でも勢力図が大きく変われば、総統選への影響は避けられない。
民進党は蔡氏ら党執行部が台北市長選で前回14年と同様、無所属の柯文哲市長との選挙協力を試みたが、党内の反発を受け独自候補を擁立した。世論調査では柯氏が優勢で、最も注目度の高い台北での劣勢が選挙戦全般に影響を及ぼす可能性もある。