衝撃事件の核心

チケット転売、キセル乗車…「AKBファン続けるのにお金必要」 横行する違法な節約術

「1枚頼める?」。昨年12月、逮捕された3人とはファン仲間の大学2年の男(21)が新大阪駅から品川駅に向かう新幹線の中で、無料通信アプリ「ライン」でメッセージを送った。新大阪駅には入場券で入っており、品川駅で同駅発行の入場券を入手してキセル乗車する算段だった。

3人のうち埼玉県内の会社員の男(22)が「大丈夫」と返信。自身の分も含めて入場券2枚を購入して品川駅に入り、入場記録をつけた1枚を渡そうとしたが、その様子が不審だったことから駅員に取り押さえられ、警視庁に建造物侵入容疑で逮捕された。

「ネットワークは数百人」の供述も

捜査関係者によると、3人への捜査の過程で、昨年7月21日付の入場券の領収書を押収。ラインでは、駅構内で入場券を渡す手助け行為を「MK」と称して頻繁にやりとりしていたとされ、同庁は遅くとも昨年夏ごろから、AKB48グループ関連のイベント参加のためにキセル乗車を常習的に繰り返した疑いが強いとみている。

警視庁が昨年11月、同様の手口でキセル乗車を手助けした容疑で逮捕した大学生の男はAKB48グループの「HKT48」のファンで、仲間との間で「MK」を使用。男は当時、「キセル乗車の手助けができる者は、福岡・大阪・名古屋など各地におり、ネットワークは数百人に及ぶ」と供述しており、そのような状況の一端が浮かび上がった格好だ。

今回逮捕された3人のうち、主導的な役割を担った私立大4年の男は「ファンを続けるためにはカネが必要。ほかにもやっている人間はいっぱいいる」と供述。スーパーでのアルバイト代もファン活動に費やしていたという。

握手券窃盗、CD不正購入

AKB48グループでは、CDの購入枚数が多ければ人気投票「選抜総選挙」で投票できる投票券や、イベントでの握手券の枚数が増える。このため、一部のファンらが握手券の窃盗や偽造、他人のクレジットカードを使ったCDの不正購入などの違法行為が問題視されている。

アイドル産業に詳しいフリーライターの大坪ケムタさんは「アイドル産業全体としてファン活動の費用が多額になる傾向にある」と指摘したうえで、違法行為について「捕まっているのは大学生などの若者。お金に余裕のない世代が中心となってグループ化することで、モラルや規範意識が薄くなってしまうのではないか」と分析する。

警視庁幹部は「善良なファンが損をして、悪質なファンが得をするのは許されない。取り締まりを強化していく」と話している。(社会部 三宅真太郎)

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