全国縦断「正論」洲本講演会(産経新聞社、月刊「正論」など主催)が13日、兵庫県洲本市のホテルニューアワジで開かれ、第33回「正論大賞」を受賞した文芸批評家で都留文科大学教授の新保祐司(しんぽ・ゆうじ)氏(65)が「日本文明の危機と『明治の精神』」をテーマに講演した。
新保氏は米国の政治学者、S・ハンチントンの「世界の主要文明の中で、一国一文明なのは日本だけ」との分析と、「文明は挑戦に対する応答から生まれる」とする英国の歴史家、A・トインビーの見解をもとに、「明治日本は西洋文明から圧倒的な挑戦を受けたが、見事に応答して日本独自の文明を守ってきた」と強調した。
それらの象徴の一つが神武天皇の東征をテーマにした奉祝曲「海道東征(かいどうとうせい)」や滝廉太郎の「荒城の月」などだったが、前者は第二次大戦を機に途絶え、このままでは日本文明が危機にさらされると指摘した。
その上で、「来年には改元を迎える。戦後の栄光なき時代はもういい。今こそ明治の荘厳なまでに愚直な精神を学び、日本復興の年にしたい」と訴えた。