浪速風

「コンチキチン」も物悲しく…夏祭は天を鎮める、荒ぶる神を鎮め犠牲者の鎮魂を

きょうは祇園祭「稚児社参の儀」。白馬に乗り、八坂神社へ向かう稚児の小林勇太朗君=13日午前、京都市東山区(寺口純平撮影) 
きょうは祇園祭「稚児社参の儀」。白馬に乗り、八坂神社へ向かう稚児の小林勇太朗君=13日午前、京都市東山区(寺口純平撮影) 

貞観6(864)年、富士山が大噴火し、溶岩が山麓に達して甚大な被害をもたらした。11(869)年には陸奥(むつ)国の東方沖で貞観地震が起き、津波によって多くの犠牲者が出た。京の都では疫病が流行した。社会不安が深刻化する中、国の数の66本の矛を立て、悪霊を移して諸国の穢(けが)れを祓(はら)う御霊会が行われた。

▶祇園祭の起源とされる。四条通などに山鉾が並び、明日は前祭(さきまつり)の宵々々山である。連日の猛暑で夕涼みにとにぎわうだろうが、「コンチキチン」の祇園囃子が、今年は心なしか哀調を帯びて聞こえる。大阪北部地震があり、広島、岡山両県をはじめ西日本各地を歴史的な豪雨が襲った。

▶日本の祭りは農作業と結びついているものが多い。秋は収穫に感謝するが、夏祭りは台風や洪水に見舞われる時期で、害虫の被害も多いことから「風除け」「虫送り」の願いが込められる。被災地は祭りどころではないだろうが、荒ぶる神を鎮め、犠牲者を鎮魂したい。

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