【チェンライ=吉村英輝】米ハリウッドの映画界が、タイ北部チェンライ県の洞窟での少年らの救出劇を映画化する動きを早くも見せている。米映画会社「ピュア・フリックス」は救出作業完了前に2人のプロデューサーを現地入りさせ、関係者へのインタビューを始めた。ロイター通信などが11日までに伝えた。
救出劇では、2010年にチリの鉱山で起きた落盤事故からの生還が、15年に映画「チリ33人 希望の軌跡」として公開されている。プロデューサーらは、タイの救出劇もヒット映画になるとみて「有名俳優をそろえる」と意気込む。タイの存在を世界にアピールする好機にもなりそうだ。
また、4年前のクーデターで発足したタイの暫定政権は欧米諸国の反発を受けたが、現在は国際社会との関係改善を進めている。プラユット首相は、チェンライの洞窟を2回訪問し、海外からの救援隊らにも慰労と激励の声をかけ、国際協調路線を強調した。
東南アジア研究所(シンガポール)のトゥームサック研究員は、今回の救出劇がタイと国際社会との「関係正常化の速度向上に貢献することは明らかだ」との見方を示している。