様々な業種のサービスや商品の品質に対する消費者の声の調査とコンサルティングの専門機関、J.D. パワーは昨年5月に投資サービスに関する顧客満足度調査の結果を発表し、三井住友銀行が全国系銀行部門にて総合満足度ナンバーワンとなった。
J.D. パワーが創業時から調査分析を続ける「顧客満足度(CS)」は今やビジネスシーンで当然のように使われる用語になったが、高い顧客満足度を実現するためにはどのような視点でどういった活動が行われているのか。J.D. パワーが公開している三井住友銀行の動画からその秘訣に迫る。
満足度を測る「商品・サービス」「店舗施設」「口座情報」「手数料・金利」「顧客対応」「問題解決」の6つの要素中、三井住友銀行は「商品・サービス」「口座情報」「顧客対応(特にオンライン)」で最高評価を得た。
その背景には、数年前から取り組んできた顧客本位の方針がある。具体的な取り組みとしては、個人ではなく組織を見る評価体制を取り入れ、店頭における事務手続きやロビーでの案内もチームで対応することを重視している。
また、社内研修についても2016年から見直しが図られ、それまでは座学が中心だったスタイルからロールプレイング中心の研修へと移行し、顧客に寄り添うことを目的としたコンサルティング力の向上を目指している。
さらに、実店舗においてもお客様志向の考えが色濃く反映されており、フラッグシップ店舗と言われる銀座支店では行員用スペースを縮小して来客用のスペースを拡充し、タブレットやペーパーレスのカウンターを導入することで待ち時間の短縮化にも積極的に取り組んでいる。
三井住友銀行は2年連続1位で、過去5年の調査では4回1位を獲得している。三井住友銀行リテール統括部長の山下剛史氏はJ.D. パワーが実施する顧客満足度調査について「公平に調査していただくということで、非常に大切なことだと思っています」と述べ、調査結果や各評価内容をサービス改善に生かすことが何より大事だと考えを示した。
J.D. パワーの顧客満足度調査は、企業からの依頼ではなく、自主企画で実施している。 専門家らの評価ではなく、実際にサービスや商品を利用するユーザーの声のみに基づいて結果を出しており、総合的なスコアを算出する独自の手法を用いる。評価項目の数は最大で200以上に上る。そのため、客観性が保たれ、信頼性が高い調査結果として単なる人気ランキングとは一線を画している。顧客の声を反映させたJ.D. パワーの調査データは企業とブランド価値を共創する取り組みにも生かされている。
J.D. パワーは1968年に顧客の声に耳を傾けることの重要性に着目したJ.D. パワー三世により設立された。今年で50周年を迎えるJ.D. パワーは世界に計16の拠点を持ち、50カ国以上で顧客満足度に関する調査を実施している。対象になる消費者とビジネスユーザーは数百万人に上るという。「顧客の声こそが企業を成功へ導く」という設立以来の企業理念と、精度の高い情報分析力は、情報過多と言われるインターネット社会のビジネスにおいて、より重みを増している。
(提供 J.D. パワー ジャパン)