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民間企業ではもはや珍しくない「ペーパーレス化」がようやく国会でも動き始めた。たかが紙、されど紙…。その舞台裏では、「水には流せない」因縁の神経戦が繰り広げられていた。
衆院議院運営委員会理事会で議員配布書類の一部ペーパーレス化が決まったのは6月26日のことである。「身を切る改革」を掲げる日本維新の会の遠藤敬国対委員長(50)が、昨年から議運委で提案し続けていた施策だ。
国会での印刷費は衆参両院で年間約12億円にのぼるとされるが、一口に「ペーパーレス化」といっても実現の困難さは書類の種類によって大きく異なる。
今回ペーパーレス化の対象に決まった「報告書等」(衆院の年間印刷費1428万円)と「請願処理経過」(同21万円)は最もハードルが低く、法規改正などの必要はない。
一方で、煩雑な手続きが必要な書類もある。例えば「議案類」(同1億2937万円)の紙での配布をやめようとすれば、「議案は直ちにこれを印刷して各議員に配付する」と定めた衆院規則を改正しなければならない。
この改正には根強い反発も予想される。国会最終盤で内閣不信任決議案などを連発し、印刷待ち時間を生じさせる審議遅延戦術を想定する一部野党にとって、議案類のペーパーレス化は死活問題だからだ。