激動・朝鮮半島

北朝鮮、核戦力の隠蔽を画策 複数の秘密核施設も存在 米紙報道

 【ワシントン=黒瀬悦成】1日付の米紙ワシントン・ポストは、北朝鮮の金正恩体制に自国の核戦力を全面放棄する意思はなく、むしろ多数の核弾頭の隠蔽を画策しているのが実態であると複数の米情報当局者が結論づけたと報じた。

 同紙が最新の北朝鮮に関する情報分析に接した複数の米当局者の話として伝えたところでは、一連の情報は米朝が6月12日の首脳会談で「朝鮮半島の非核化」で合意したのを受けて収集された。北朝鮮は核弾頭に加え、核兵器製造のための秘密のウラン濃縮施設の存在も隠し通そうとしていることも分かったという。

 同紙が昨年報じたところでは、北朝鮮は65発前後の核弾頭を保有。また、北朝鮮が存在を開示している北西部寧(ヨン)辺(ビョン)の核施設のほかに、寧辺の2倍のウラン濃縮能力を持つ「カンソン発電所」と呼ばれる秘密の地下核施設が存在することを米情報機関が把握済みだとしている。

 米当局者は、北朝鮮は自国の核戦力や核関連施設の全容を米国が把握していないとみていると指摘。一方で米国は衛星情報の分析などを通じ、北朝鮮が寧辺とカンソンのほかにも1カ所以上の秘密核施設を運営中だと判断しているという。

 一方、ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は1日、CBSテレビの報道番組に出演し、同紙の報道について「コメントしない」と述べつつ、「米国は北朝鮮が何をしているのか全力で把握しようとしている」とした。

 また、「北朝鮮との協議に関与している政権当局者の中に(北朝鮮は誠実だと)ばか正直に考えている者はいない」と指摘し、北朝鮮に交渉を引き延ばされ、核・弾道ミサイル開発進展ための時間を与えるという歴代米政権の「過去の過ち」は繰り返さないと改めて強調した。

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