そして迎えた6月13日の定期大会。選出された新執行委員の顔ぶれは、会計監査員以外の役職23人に3地本出身者が皆無という結果になった。
「ずっと中心的だった3地本出身者がここまで排除されるのは異例」(JR労組関係者)。JR東労組が追い込まれたのは、スト戦術に対するトラウマが多くの組合員にあったからだ。分割民営化(昭和62年)以前の国鉄時代、経営陣の合理化に反発した各労組が事実上のストやサボタージュを繰り返し、国民の信頼を失った過去がある。
中でも激しい労使交渉で「鬼の動労」と恐れられた「国鉄動力車労働組合(動労)」の系譜は、離合集散を経てJR東労組などに受け継がれた。会社側は労使協調路線を続けていたが、平成22年に同労組の「絶対的指導者」(JR関係者)だった松崎明元委員長が死去して以降、関係は変化し始めていたという。
50代のベテラン社員は「ストの先に何があるのか。30年かけて築いた信頼が崩れ、経営が傾く状況さえあり得る」とストを復活させようとした戦術に憤りを隠さない。
今回のスト騒動を受けて、会社側の姿勢は硬化した。業務効率化策への協力などをJR東労組との関係回復の条件としているが、「条件が守られても信頼関係は『マイナス』から『ゼロ』になるだけ。実践の中で慎重に見ていかないといけない」(会社関係者)との考えだ。