平成20(2008)年のリーマン・ショックで落ち込む経営者を見た杉浦佳浩さん。彼らのために、比叡山の「千日回峰行(せんにちかいほうぎょう)」を2度成し遂げた天台宗大阿闍梨(だいあじゃり)の酒井雄哉(ゆうさい)師の講演会を実現させた。(聞き手・中山玲子)
--天台宗大阿闍梨の酒井雄哉先生との最初の出会いも印象的だったそうですね
杉浦 今から12年くらい前、酒井先生と懇意にしている、ある方に自分もお会いしたいとお願いしたのです。すると、その方は「会わせてあげるから一筆書いてもらいなよ」と。当日、襖の前に座り、「お願いします」と言うと、「15分」とおっしゃった。中には「帰れ」と言われる人もいるそうです。必死に自分の思っていることを話し、気付いたら90分経っていました。
--リーマン・ショックの影響で落ち込む経営者を元気付けようと実現にこぎ着けた酒井先生の講演。実際に話を聞いた人たちの様子はいかがでしたか
杉浦 酒井先生は千日回峰行に行くときと同様に刀と縄を付けた白い死に装束で大阪市の会場まで来てくださいました。講演の話が進むと、前列の方に座っていた経営者らが涙を流しているのがわかりました。酒井先生は講演で、「一日が一生だと思って生きる。今日を大切にしなければ明日はない。人生に無駄はない」と一日一日を大事に生きることの重要さを説かれました。酒井先生の言葉には多くの経営者が励まされました。