【北京=西見由章】中国各地で元軍人らが待遇改善を求めるデモが拡大している。江蘇省鎮江市では数千人規模のデモが発生し、治安当局による強制排除でけが人が出たもようだ。人民解放軍が介入の準備を進めているとの報道もある。
鎮江でのデモは今月19日に市政府周辺で始まった。中国南部在住で、デモを支援する元軍関係者の男性(60)は産経新聞の取材に対し、現地に集まった元軍人の数を「4千人程度」と推測。22日から23日にかけて行われたとみられる強制排除でデモ参加者にけが人が出たことも認めた。排除にあたったのが人民武装警察部隊(武警)か、現地の警察部隊かは不明という。
強制排除を受けて全国各地の元軍人が鎮江へ応援に向かったが、24日以降は当局が元軍人らの移動を厳しく取り締まっている。四川省を出発した数百人が河南省・鄭州の鉄道駅で拘束されたほか、鎮江周辺の高速道路では検問が行われ、元軍人らの市内への移動を阻止しているという。
インターネット上では鎮江で起きたデモ関連の書き込みや画像などが次々と削除されている。ただ、元軍人らが国旗や共産党旗などを掲げて警察官らに抵抗しながら行進したり、地元住民が水や食料を差し入れる様子を映した動画も拡散している。