朝鮮戦争勃発68年

北メディア記事から「米帝」表現消える 安倍晋三政権批判だけ際立ち

 【ソウル=桜井紀雄】朝鮮戦争(1950~53年)開戦から68年となった25日、北朝鮮の朝鮮労働党機関紙、労働新聞は、朝鮮戦争に関連した複数の記事を掲載した。ただ、米国を名指しで批判せず、「米帝国主義」を指す「米帝」や韓国を非難する「南朝鮮かいらい」といった表現は見当たらなかった。4月の南北首脳会談で年内に終戦宣言を行うことで合意。初の米朝首脳会談も実現した対話ムードを反映したようだ。

 同紙は昨年まで6月25日に「米帝の北侵核戦争挑発策動を断固粉砕しよう」といった社説を掲載。北朝鮮は各地で反米集会を開き、米国との対決姿勢をあおってきた。一方で、北朝鮮メディアは、対北圧力の呼び掛けや慰安婦問題に絡み、安倍晋三政権を連日、非難しており、対日批判だけが際立つ結果となっている。

 ソウルでは25日、韓国政府主催の朝鮮戦争開戦68年を記念した式典が開かれたが、こちらも敵対色の後退が顕著となった。李洛淵(イ・ナギョン)首相は式辞で「どんな難関が生じても、朝鮮半島の平和定着と民族の共同繁栄に向けて進んでいく」と強調。北朝鮮と協力して非武装地帯(DMZ)などでの遺骨収集を進めるとも述べた。

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