北方謙三さん「チンギス紀」 地平線に向かって書き続ける(3/4ページ) - 産経ニュース

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北方謙三さん「チンギス紀」 地平線に向かって書き続ける

 北方さんにとって、「満足のいく人生」は「地平線のようなもの」だという。

 「そこにいけば、また地平線は遠のく。いつまで行っても満足しない。それが人生」

 これまでの経験では、物語が進むにつれて登場人物は個人となり、作者の制御が及ばない行動を取り始める。中には、自ら破滅の道を選ぶかのような人物も。同じような体験をしながら、異なる道を歩んでいく違いは何なのか。わずかな描写の違いが、登場人物の生き方を決定づける。

 「『いいじゃないか』と書くか『いいじゃねぇか』と書くのか。無意識の私に書かれた瞬間、性格が一つ決まる。ここで斜に構えたから、やくざになっちまったとかね。頭で考えるより、その方が登場人物が生き始めるんです」

普通の人間が変貌

 同時刊行された第2巻『鳴動(めいどう)』では、モンゴルに戻ったテムジンが勢力を拡大しつつ、後にライバルとなる同年代の氏長との爽やかな友情をはぐくむ。「眼に火あり、顔に光あり」といわれたテムジンは、謎めいた部分はあるものの、部下との信頼関係の構築や新兵器の開発により、強い組織を作り上げようとする若きリーダーだ。