政府が7月から導入する太平洋クロマグロの漁獲規制強化策によって生活の困窮が予想されるとして、全国の沿岸漁業者らで作る「全国沿岸漁民連絡協議会」は25日、斎藤健農林水産相に対し、新規制の実施延期や生活支援を求める要望書を提出した。
水産庁は新しい漁期が始まる7月から、これまで全国合計の上限量しか規定がなかったクロマグロの大型魚(30キロ以上)に、都道府県別の罰則付き漁獲枠を設ける。従来は小型魚にのみ設定していた。
漁業関係者によると、マグロ漁以外の定置網にマグロが偶然入って罰則を受けることがあるほか、所属漁協によっては漁獲枠の配分によって大幅に漁獲量が減る例があるという。漁業者の間では、水産庁が事前の調整をせずに新しい規制を打ち出したことへの反発も強まっている。
要望書には、新規制の実施延期や漁業者への丁寧な説明のほか、沿岸配分枠の増加、クロマグロ休漁に対する生活支援対策の確立などが盛り込まれた。
農水相への要望後、記者団の取材に応じた北海道羽幌町の沿岸漁業者、高松幸彦氏は「切羽詰まっている。このままでは廃業に追い込まれる漁業者がたくさん出る」と述べ、窮状を訴えた。
陳情に同席した関係者によると、斎藤農水相は「漁業者の話を直接聞けてよかった」などと応じるにとどめたという。